某大学病院
Accident

 「明日(誕生日)は有給休暇だから帰りが少し遅くなる。 
だから食事は先に済ませてくれ」。 と言って
いつもと同じ時間に、いつもと同じバイクで出社した 
 そして、いつもと同じ信号に引っかかり……
そこまでは、いつもと同じ。 そう、いつもの出社だった。

 突然、左から車が飛び出してきた
その車を避けた次の瞬間、その車に被せられた
最後の最後まで回避措置をしたが、結果は……

(よく事故にあったとき、スローモーションになる。
なんて聞くけど、コンマ数秒もないとっさの間で、回避するため荷重移動したり
思い切りブレーキをかけて、ギアダウンして、逃げ道を探しているから
スローモーションになるなんて余裕は無かったよ!
でも、後から聞いた話しだと
アッ、ぶつかる(>_<。)って身構えてしまうと、スローモーションになるらしいね)


     へぇ〜っ! (余談)



  気がついたときは、誕生日を3日も過ぎていた。

 そして、ドクターから「脊髄破裂粉砕骨折。 それよりも右側の肺と気管支の損傷がひどい

 寝たっきりの生活になるかもしれない」と告げられた。

  「よく生きていたな」とも言われた。 でも、そんな……

 事故現場近くの救急病院に救急車で運んだが、そこでは手に負えないために

 その救急車で、この大学病院に搬送されたらしい


 この時、今までの人生で始めて頭の中が真っ白になり、人が話す言葉が理解できなくなった。

  エッ、何を話しているんだろう。 誰に話をしているのかな?

      そ し て、…ここは何処?


  胸髄損傷 第8.9胸椎破裂骨折
  右気管支断裂
  両肺血気胸肺挫傷
  マロリーワイス症候群

これが、診断結果だった。

    そんなはずない!
これは夢に違いない。 絶対に夢なんだ。
だって、さっき出社のために家を出たところだよ……
いや、出社も夢なんだ。 まだ、今日は目覚めてないんだ。



  現実に引き戻したのは、体に繋がれている何本もある線や管と点滴。 そして、酸素マスク

  オレは、これからどうなるのだろう? どうすればいいのだろう?


天井がこんな風に
見えたりとか……



 不安と絶望感で天井を見つめていると…と……と………

うっそ〜天井が動いているッ!。わっベッドの横にある機械が心拍を表示していない!

誰かが呼びかけている!

なぜか、向きが違うのに日が差し込んでいる

目に映る光景で頭がパニクル!
これって、もしかしてヤバイじゃん



   知る人のみ知る” 真夜中の「おっかぁぁ〜〜!」コール
  夜中になるといつも 「おっかぁぁ〜〜!」、「おっかぁぁ〜〜!」
  「おっかぁぁ〜〜!!」
  と、何処かの病室で
    お爺ちゃんが、奥さんを呼んでいる。

 オレは寝たきりだから、どんなお爺ちゃんが”おっかぁぁ”を呼んでいるのか
頭の中で空想がどんどんふくらみ
”おっかぁぁ〜〜”が、幽霊になって枕元に現れているんだろうな!?
また、今も「おっかぁぁ〜〜」
と呼んでいるから、幽霊が出ているのだろうと思うと…こわーッ


 そして、トドメは ”あッ、ゴキブリがカーテンレールの上にいる”
そのゴキブリが走り出した。 そして止まった。……まだいる。
ナースコールで看護婦さんを呼んで、
「ほら、あそこ。 ゴキブリがいるよ」
看護婦さんが「これ?これなの?」
 オレが「そう、それ!(コイツ、素手で掴んだ)」
 と言うと
次の瞬間、看護婦さんがニッコリと微笑んで
「これは、カーテンの止金よ!
 
だって。
  あちゃ〜、オレって ”バカ?”
                                  
    後で分かったことだが、例の「おっかぁぁ〜〜!」
    コールのお爺ちゃんの奥さん(おっかぁぁ〜〜)は、いつも昼間にお見舞いに来ていたらしい。
    くそ〜、ビビらせやがって
          マジで怖かった





 この肺・気管支の状態では手術で治った前例がなく、かなり難航(後から聞いた)したようだ

今でも、そのドクターに会うと「いや〜本当、成功してよかった!」
と言ってくれる

しかし、その時は正直言って車椅子の生活になるのならどうだっていい

こんな体で……

 この先、生きていくなんてイ・ヤ・ダ!



メチャ否定的だった。 でも、今では感謝しています。



 
その頃の日課?は、レントゲン

病室にレントゲン機を持ってきて、ベッド上で寝たままハイ・チーズ(^^)v。 ☆パチリ

毎日、何枚もレントゲン写真を撮っているけど、昨日と今日とでは何か骨に違いがあるのかな?



  そして、入院から1ヵ月後にやっと背骨の手術

 背骨に鉄棒2本と8本のボルトを入れた。

 このままだと、空港で金属探知機に引っ掛かるよね!?

 パスポートと一緒にレントゲン写真持参か?

 それとも、手提げ荷物と一緒にX線Boxを潜るのか……?



みんなが、オレを見て亀の甲羅みたい! と呼んだコルセットを作った

と同時に

 治るためじゃなく、生きていくためのリハビリがスタートした。


・GICUから整形外科へ



この頃が一番辛かった。

毎日、午前も午後もひたすら辛いリハビリ(腕の筋トレ)

汗びっしょり

リハビリしていると、病棟から電話で「早く、こちらにへ返してください」
 帰れCall。

そんなに、オレと居たいのか

オレって病棟の人気者?←大きな勘違い(保護観察だよ)

しかし、毎日がサバイバル!




・整形外科からリハビリ科へ



リハビリ科というくらいだから、何か特別なリハビリがあるのかな?と思っていたら

整形外科の時と同じ(腕の筋トレ)

原因不明の熱発をする癖が、整形外科の時からあり

朝晩にバンコマイシンを点滴することになった。

このせいで、後にひどい耳鳴りに悩まされた。



 ある日、ふと思った「そうだ、テニスをやろう!」
(自分のことながら何でテニス?かはいまだに不明)
その数日後、コルセットを付けて車椅子に乗っている奴がテニスの壁打ちをしだした。
(怪しい奴と思われていたに違いない。 入院患者らしくないし!   
でもコルセットを付けているし!  
学園スーパーの叔母ちゃんたちの黄色を通り過ぎた
茶色に近い声援を受けながら壁打ちをしていた)
普通じゃない。
数日後、ここの学生からテニスグラブの入会申込書を貰った。
ヤッパリ、あ・や・し・かった!

 マジ普通じゃない

    ナースキャップを付けた”私服の奴”がバス停でパスを待っていた。
    実習が終わって、帰宅するのだろう。
    でも、なぜか、そいつの周りにいる奴らが悪魔に見えた。  
      これって、気のせい?
                (〜なぜ、ナースキャップを教えない?)




ある日、似たような怪我をしているブラジル人が近づいてきた。

数日後

あの二人(オレとブラジル人)、いつも一緒じゃん。ここでも一緒にいるよ。

それが徐々に、あの二人のブラジル人は、今日も一緒にいるよ。

いつの間にか、オレもブラジル人になっている。

オレは、日本人だァァァ〜ッ。

そして

【3−9の皆さん、I'm sorry for all the trouble.】   3-9には用が無かったけど、溜り場でした





あいかわらず、原因不明の熱発する癖が治らず

その原因となるものが、背骨のボルトかも??

抜釘のために

リハビリ科から整形外科に戻された

(ただいま)

あっちゅう間に抜釘終了。

抜釘したボルト こんなのが背中に入っていた



抜釘したから、以前の金属探知機の心配が無くなりホット一安心。

なんて、思っていたら

VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)になってしまった!



    これも、めちゃヤバかった。

   このため、5ヶ月間の独房(隔離)入り

   移動できる範囲がベッドの端から端まで

   小さな世界。

   誰かが言った、「VREには正露丸が効果的!?」
   ということで

   食事前に毎回正露丸を3錠飲むことになった

   (大学病院で、正露丸を飲めってありえないと思うけど)

   何を食べても正露丸味!だから、嫌いだったキノコ類が食べられるようになった。

   だって、正露丸味だからね!

   体臭も正露丸臭。

   正露丸になった夢まで見た(>_<)

努力期

ひげ面、似合うかな?

”全ては空(くう)なり”    〔パクリ〕

悟りをひらいた!?

そして

整形外科の仙人になってしまった。

この時、巷の情報を教えてくれた

↑↑岡先生(恩師)ありがとう

浦嶋太郎?にならずに済みました。


とうとう

待ちに待った退院の日がやってきた。 これで、晴れて自由の身だ!

                    



看護婦さんが「もう二度と、こんな所へ戻ってくるなよ」


オレが「へぇ、お世話になりやした」 

違う病棟の看護婦さんが「お務めご苦労さま」

”出所かよ!”

でも、シャバの空気はうまいぜっ。

だから、”出所かよ!!”




3-4 16-A 2-6の看護婦さん

お世話になりました。





帰りが”少し”遅くなるはずが、20ヶ月も遅くなってしまった

でも、そこには……


omu world?










 
 色々大切なもの、掛替えのないものを失ってしまったが

 全てを失ったわけではない

 オレには残された力が、少ないけどある。 多分ある。…あると思いたい。……あってよね

 失った分以上に得たいものも色々たくさんあるから、諦めるわけにはいかないよ

 欲張りかな?

 でも…絶対に得たい

 それが、自信につながる